by ST25
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白田秀彰 『インターネットの法と慣習』 (ソフトバンク新書、2006年)
知的財産権法の専門家が、インターネット社会において「規範や法についてどのように考えていくべきかを、どちらかといえば法制史的あるいは法哲学的な根本の部分から説明しようとした」本。
著者が自身の専門である知財法からではなく、法制史や法哲学から説明しようとしているのには訳がある。
すなわち、法律は実際の行動や慣習が基になって作られるものである。しかし、インターネットの世界はまだその慣習や規範が作られる途上にある。また、インターネットの世界には現実世界とは異なる慣習や価値がある。であるならば、インターネットの世界に現実世界を基礎とした法律を当てはめることには慎重でなければならない。そして、インターネットの世界に適した慣習や法律を法制史や法哲学を参考にしながら新たに作っていかなければならない。
著者はこのように考え、法制史的・法哲学的な観点から現実世界とインターネットの世界とを対比させて、その違いを明らかにしている。
インターネットに関係する法について具体的に踏み込んだ話を期待して読むと期待外れだけど、具体的な話に行く前の前提として絶対に踏まえておくべきことだとは思う。
こういう前提を知っておくことは、インターネットを知らない政治家とか、そういう政治家に影響力を行使できる(著作権等からレントを得られる)私企業とかが変な法律を作ろうとしたときに騙されないための手助けにもなる。
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