by ST25
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三本和彦 『クルマから見る日本社会』 (岩波新書、1997年)
以前にも取り上げたモーター・ジャーナリストである著者による、車に関係のある社会のいろいろな側面を論じた本。
前回の本と違って、焦点が個々の車ではなく車を取り巻くマクロな環境に絞られているため、主張が非常にコンパクトにまとまっている。
論じられるのは、自動車産業、自動車行政、世界の中の日本車、自動車ジャーナリズムなど。
相変わらず、生産者のためでも一部のマニアのためでもない、一般消費者の視点からの正論を熱く貫き通している。
無責任で縦割りの官僚、生産者・建設業ばかりをひいきする政治家、自動車メーカーに飼いならされてしまっている「モーター・ジャーナリスト」、ユーザーの味方ではないJAF、無知で寡黙な一般ユーザー、・・・・。
誰にとっても今や身近な生活必需品であり、それでいて、人の生死にも重大な関係を有する車に関して、この本が行っているような社会全体を視野に入れた問題提起やシステム設計が重要であることを改めて認識させられた。
道路・駐車場事情や交通量や都市集中などについても問題提起する著者が、経済学的思考を身につけたら、さらに理想のモーター・ジャーナリストに近づくのではないかと思える。
そして、広告主である自動車メーカーに牛耳られず、一部のマニア向けでなく、一般ユーザーの視点で作られた著者が理想とする自動車雑誌を読んでみたいと思った。どっかの新聞社とか出版社とか、「ジャーナリズム」としての自負がほんの少しでもあるなら協力・後援して実現してほしいものだ。
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