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by ST25
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 SIGHT vol.33(ロッキング・オン・ジャパン、2007年)
 
 
 気分転換に、久しぶりに総合雑誌を買って読んだ。( 「したたかなリベラル」っていう概念を提唱している前号の枝野幸男のインタビューが有意義だったのが印象に残ってた。)

 この『SIGHT』っていう雑誌は、「リベラルに世界を読む」がテーマで、50代以上が想定読者な『論座』を、よりファッショナブルにして30~40代を想定読者にした感じ。

 実際、字も大きめで、でかでかとしたファッション雑誌風の写真も多用されてたりする。(その分、分量は相当少なくなってるけど。)

 インタビューがほとんどだけど、参院選がメインテーマの本号で“執筆人”に名を連ねてるのは、加藤紘一、菅直人、藤原帰一、小野善康、佐藤優、田中秀征、北野武、酒井啓子、吉本隆明、中沢新一、東浩紀など。

 ポストモダン系の古い人が(時事問題を語っているわけではないにしても)入ってるのはどうなのだろう、という気がするけど、メインの特集に登場してる人たちは「リベラル」の中では比較的まともな部類に入る人たち。( 今号で語っている内容のいかんには関係なく。/前号と変わり映えのしないメンバーではあるのだけど。)

 それから、編集長を務めてるのが渋谷陽一という評論家なのだけど、この人が一人暴走してる感じが端々からすごく伝わってきてうざったい。それはインタビュアーとしての問いかけ部分にたくさん見られるけど、何より、特集のタイトルの有権者動く!この流れを止めるな!っていうのが最悪。誌面に登場してる人たちとの温度差がかなりあるし、誌面で語られてることをきちんと理解して誠実に向き合ってコミュニケーションを図ろうとしているのか疑いたくなる。今どき『論座』でさえもこんな安っぽい主張の押し付けはやらない。勢いだけはこの雑誌の雰囲気に合ってて悪くはないんだけど。

 雑誌全体についての感想はこんなところ。
 
 
 で、具体的な内容。かいつまんで簡単に一言ずつ。

 加藤紘一のインタビュー。加藤紘一の実家に火をつけたのが義挙だという集会に1000人くらいの人が集まった(のにマスコミは一切報道しなかった)ということがあった、ということを知って愕然とした。

 菅直人のインタビュー。参院選の勝利に自画自賛してないのはいい。ただ、これからの戦略が抽象的すぎたり、小沢一郎を買いかぶりすぎてたりで、全く民主党に期待を抱かせない。

 小野善康のインタビュー。安倍首相は経済状況が良くなってきたのに乗じて経済政策はなにもしてないと。確かに。ただ、自民党は勝ち組だけみて政治して民主党は負け組だけみて政治してるからどちらも「共産党化」だと。アフォまりずむ。経済学者が政治のことを語りだすと本当にろくなことがない。小選挙区制って知ってますか、小野先生?

 佐藤優のインタビュー。官僚が自己利益を守ろうとすることを説明するのにマルクスを持ち出すのは迂遠すぎる。

 内田樹のインタビュー。発想、視点がおもしろいから読み物としてはおもしろいけど、現実的、政策論的な基盤は無視されてるから、それ以上の役割を与えては絶対にいけないお話。

 藤原帰一のインタビュー。左派でありながらリアリズム的、プラグマティズム的な思考ができる貴重な人材。(いつもそういう思考してるとは限らないけど。) さすがはアメリカ生まれなだけのことはある。対北朝鮮外交を中心に最近の日本外交を鳥瞰的に振り返っていて勉強になる。外交こそ日々のニュースに一喜一憂してはいけないことをしみじみ感じる。

 高橋源一郎の社会時評。話題の評論『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳フリーター。希望は、戦争。(『論座』2007年1月号)の根底に流れる人間的な感情のレベルまで降りていって寄り添い、その上で共感できるとしている。確かにその感情自体は分からないこともない。

 小田嶋隆のエッセイ。書籍化されたケータイ小説を、説教オヤジみたいにむげに批判したりしないできちんと読んだ上で評論してる。笑った。

 東浩紀の社会時評。そもそも、日本のサブカル論壇がなんで翻訳されなければいけないのか、なんで国際的なパラダイムに乗らなければいけないのか分からない。これが分からないと、強迫観念とかに取り付かれて著者が一人相撲してるような印象を受ける。
 
 
 全体としては、上のような感想を書かせるくらいに肩肘張ってなくて軽いのが現代的で良いところだと思う。

 けど、それが限界でもある。

 けど、何事にもおもしろさが一義的には必要だから悪い方向ではないと思う。

 あとは、まともだけど軽くておもしろいことを言える人をどれだけ登場させられるか次第。

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