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 m9 (vol.1)』 (晋遊舎、2008年)
 
 
 新しく創刊された雑誌。キャッチフレーズは、 時代を読み解く新世代『ライトオピニオン』誌

 要は、『中央公論』とか『世界』とか『正論』とかいったオヤジ向けの論壇誌に対抗して、若者向けの論壇誌の1つを目指そうとするもの、だと思う。

 それを象徴するのが、創刊号の特集に「 格差・ニート・ワーキングプア 」( 副題?は「インチキ若者論の元凶はコイツらだ!!」)を持ってきてること。

 なんだけど、対象とする読者(=味方につけようとしてる人たち)が違うだけで、やり方、本質は、オヤジ向け論壇誌と変わらない。

 つまり、敵・味方を分けて、敵を貶(おとし)め、味方を擁護できれば何でもあり、ってところが。

 例えば、特集。『ニートって言うな!』の後藤和智、『戦前の犯罪少年』の管賀江留郎のような“客観データ・人間変わらない派”がデータや実例を示して「ちゃんと現実を見ろ」と言ったかと思えば、『自分探しが止まらない』の速水健朗が「現代は自己変革を強いられる時代だ」みたいな、ちょっと考えればおかしさが分かるような主張を展開したりしている。( 武士道、騎士道、仏教、キリスト教、ギリシア哲学等々、これらだってどれも自己変革の話でしょうに。)

 特集以外の記事・連載も、“若者の支持が得られそうで楽しそうなもの”という緩い基準があるだけで、確証性のレベルとか論じてることの社会性のレベルとか対象のマニア度/一般性とかは相当バラバラ。

 結局、この雑誌を読んで分かるのは、“対既存の論壇誌”云々以前に、若者ったって実に多様だってこと。(ネット見てるとつい忘れがちになるけど。) この雑誌では、“対既存の論壇誌”を謳ってる割にはそのことに無自覚で、ただ単に内部対立を煽ってるだけ、という結果になりそうな気さえする。もしくは、実証派が逃げ出して(追い出されて)何でもありの不毛な地になるか、だろう。( 「若者」が連帯できるのは「ネット・アニメ・ゲーム規制反対」くらいなものじゃないかという気がする。)

 そんなわけで、若者シンパというスタンスとそれを体現する新鮮な執筆陣にちょっと興味はひかれたけど、(今後も)ダメそうな気がする。
 
 
 個別では、先述の後藤、管賀は、その著作を読んだことがない人には、その(有益な)主張の要点が簡潔に読めるメリットがある。掟ポルシェのアイドル(消費)論『「俺はアイドルとヤリたいワケじゃない」』は最近の主要グループアイドル(消費)についての真っ当な(あるいは、無難な)まとめになっている。その他は、読んでるときのちょっとした楽しみとちょっとしたマメ知識が得られる程度の短く気軽なエッセーみたいなのばかり。

 そんなわけで、(楽しかったとしても、その)楽しさの内実は、論壇誌っていうより週刊誌に近い気がする。

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