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 カール・セーガン 『人はなぜエセ科学に騙されるのか(上) (青木薫訳/新潮文庫、2000年)
 
 
 「宇宙人による誘拐」や「悪霊」や「セラピー」といった話を素朴な論理的・科学的な視点で読み解いているエッセー。

 人間は他の生き物に比べれば格段に優れた能力を持っている。しかし、だからといって、その人間も完全無欠な“神”などではなく、依然、様々な弱さや無知を持ち合わせている。ここで取り上げられているエセ科学はどれも、その弱さや無知を(多くの場合は無意識のうちに)埋め合わせるために用いられている。

 これを見て思うのは、科学を信じる人だけでなく、エセ科学を信じる人も、人間の能力を信じている、ということだ。

 ただし、科学を信じる人が信じる「人間・人間の能力」とは“人間一般”や“人間が自力で生み出した科学”であり、一方、エセ科学を信じる人が信じる「人間」とは“自分”や“自分の能力や感覚”のことだ。

 科学を信じる著者が、ひたすら「懐疑」を語るのも、“人間一般”を信じつつもこの“自分”(という個人)の独善に陥るのを防ぐためだろう。

 エセ科学を信じる人に欠けているのは、自分という人間の能力や感覚の弱さや至らなさへの自覚だ。

 前田知洋のマジックをマジックだと知らされないで見たら自分が知らない不思議な力の存在を信じかねない。アニメを見ているだけでは平野綾が多重人格でもないのにあんなに色々な声を演じているなんて理解することはできない。何の予備知識もなく急に窓から飛び降りる自分の息子や娘を見て憑き物ではなくインフルエンザ(かかなりの低い確率でタミフル)の副作用だと理解できる人はいない。分かっていても錯視には騙される。

 人間一人の素朴な感覚や理解力なんてのはこの程度のものなのだ。そして、科学的には、空想と記憶との境界が曖昧であることや疲労や薬や寝起きなどで幻覚が見えることも分かっている。

 「 (霊とかが)見えるんだからしょうがない 」なんていう、あまりに素朴に自分の感覚を信じすぎる人たちは、こういう人間のしょぼさをきちんと認識するべきなのだ。
 
 
 さて、最後に、個人的に何らかの思い入れのある文をいくつか引用しておこう。

気持ちよくさせてくれるものと真実との違いを識別できなくなった人たちばかりだ。 (p62)

 例の告白本の中で奥菜恵がやたらと「真実」という言葉を使ってて違和感があったんだけど、とりあえず収まった。

『魔女は存在する』と主張する人たちの言い分は、『もしも魔女が存在しないなら、どうしてこんなことが起こるのか?』というものだった。 (p63)

 つい最近(てほどでもないか)、某知人が同じ論法を使ってたのを思い出して思わず苦笑い。

(科学では)誰であろうと、専門家の厳しい批判の前で自説を証明しなければならないのだ。さまざまな意見を出し合って討議することに価値が置かれ、それぞれの意見を徹底的にぶつけあうことがよしとされる世界なのである。 (p73)

 自戒を込めて。そして、“場の空気”だの“温かさ”だの“優しさ”だのばかりを重んじる人たちに対して。




 〈前のブログでのコメント〉


挑発ですか?言わせてもらいますが、ちゃんとヒザ突き合わせて話しましょうよ。まぁ、これから書くことが私の邪推、或いは妄想ならそう断じて下さい。

「『魔女は存在する』と主張する人たちの言い分は、『もしも魔女が存在しないなら、どうしてこんなことが起こるのか?』というものだった。」(p63)

「『佐藤優や田中森一が逮捕された背景には政治家が存在する』と主張する人の言い分は、『もしそういう政治家が存在しないのなら、どうしてこんなことが起こるのか?』というものだった。」

繰り返しますが、後者の発言の主が私でないなら妄想だと断じて下さい。ただ・・・私の話に床屋政談めいたものがあったのならそうかもしれません。緊張感の欠如を自戒します。

言いたかったことは、権力(組織にしろ個人にしろ)は理念とか主義主張ではなく、自己の権益の拡大が行動基準になっているということです。

佐藤、田中の一件はそれが顕著な形で現れているのです。おそらく佐藤は「外務省&検察」田中は「検察」。

先にSTUDさんが元財務官僚の著書の書評で省庁が省益を主張しあうことで争点や政策のダイナミズムが出てくる、とありましたが今回の場合はインサイドな利益主張ですからあまり議論が発展しない。

外務省はともかくとして検察の場合「バッジをアゲる」というスローガンを正義漢よろしく目標に掲げるわけですから空恐ろしい組織です。STUDさんはマスコミの陰謀論好きを批判しましたが、検察こそそのきらいがあるかもしれません。ただ、検察も一筋縄ではない。その権力は分散している。色んな考え方の人間がいる。その副産物でしかないのでしょう。

以上、長々と述べましたが、それだけの話といえばそれだけの話かもしれません。ただ・・・検察の恐ろしさを強調するマスメディアは多々ありますが、それを陰謀論に落とし込むに止まっている。

「バッジをアゲる」とか「目立っているヤツに痛い思いをさせて権力を誇示する」という点を批判すべきです。

最後に蛇足ですが、田中森一をインタビューして思ったのが
彼も佐藤優も「権力者」です。決して「被害者」ではありません。自分に都合のいいことしか言いません。塾の話やら何やら。はっきり言って話半分です。

ひょっとしたらもっとスゴいネタを検察に掴まれているからシュンと大人しくしているだけなのかもしれない。

私は彼らに対して極めて高い好意を寄せますが、報道に携わる人間として称揚するというのは全く別問題。論外です。まぁ彼らを単独でメディアに出すことはないでしょう。

まぁそういうスタンスで考えています。
commented by でぃーぷすろーと
posted at 2008/04/16 04:16 

ご名答。ただ、この間の電話で言った(我ながら)手厳しい言葉の数々に比べれば、こんなの「挑発」と言うには生易しすぎるものであって、笑って流す程度のものだと思ってましたが。ちなみに、さらに言えば、ここ数日で取り上げた『薬害C型肝炎~』と『犯罪被害者~』も、「何らかの事実を提示し主張するにはこれくらいの取材・考察・証拠がいる」ってことを言う際の例示として使うためという理由が4割くらいあって読んだものです。気づかれましたかな?

さて、1つずつお応え・コメントしていきます。

1.1行目。「ヒザ突き合わせて~」という表現は、第3者から見ればこちらが逃げてるみたいに思われてしまうものです。気をつけて下さい。

2.私の今のHNは「ST25」です。気をつけて下さい。

3.7行目。佐藤&田中でもいいのですが、この間話題になったのはホリエモンでしたね。「ホリエモンが酷い番組を作るのを避けるために政治家と官僚が介入して逮捕させた」という話でした。それで、「粉飾決算くらい誰でもやってるのに、なんでホリエモンだけ逮捕されたんだ!?」とおっしゃったのでした。

4.11行目、「床屋政談~」。どこをどう反省してるのか全く分かりません。(ってことは電話の後のメールでお伝えしましたよね?)

5.13行目、「言いたかったことは~」。これには賛同しますよ。ただ、そんな話この間は全くされていませんでした。むしろ、「自民党の政治家がホリエモンの酷い番組を防ぐために検察に介入する」なんていう理念的な主張をされてました。

6.16行目、「佐藤、田中~」。この間のホリエモンの話からはだいぶ抑えられた(というか全く別物の)主張ですね。組織がウザイ人の悪い話を流したりするくらいならあり得る話でしょう。(逮捕となると別かもしれませんが。) ただ、いずれにせよ、それを表立って主張するには、その証拠を示さなければなりません。で、外務省/検察の誰がどうやって逮捕を画策し実行したのですか? 佐藤の場合、なんで検察が協力したのですか? で、これが「国策捜査」なんてもんなんですか?

7.22行目、「外務省~」。「バッジをアゲる」の意味も分かりませんが、この段落全体の言ってることの意味も分かりません。

8.29行目、「検察の恐ろしさ~」。この前と後の段落も含めて、検察の話がどれも抽象的すぎて全く何も「恐ろしさ」が伝わってきません。そして、であるなら、あなたの主張が「他のマスメディアの陰謀論」と違うとは思えません。

9.37行目、「ひょっとしたら~」。推測したり仮説を立てたりするのにも合理的な思考や一定のルールは要求されるんですよ。何か証拠やそうと思わせる手がかりはお持ちなのですか? 無いのなら、「ひょっとしたら魔女はいるのかもしれない」というのと同レベルの話です。

10.全体。電話よりも冷静で論理的になるはずの書き言葉でこれですか? この間より、絶望の感を強めました。たった一年ほど前にあなたに全面的に期待していた自分が恥ずかしい。

11.この公の場では書けないこともあるでしょうから、基本的には異論反論は直接会ったときか、電話かメールでお願いします。もちろん、ここに書ける範囲で言いたいことがあれば書き込んでも構いませんが。

以上
commented by ST25@管理人
posted at 2008/04/16 09:03 

次会った時に話しましょう。
commented by でぃーぷすろーと
posted at 2008/04/16 13:18 

そうしましょう。楽しみにしてます。

それから、もしコミュニケーションや議論の基準として「論理」や「理性」を依然採用していらっしゃるのでしたら、事前に、ここで取り上げた『人はなぜエセ科学に~(上)』の第12章を読んで自分の考えを検証しておくことをお勧めします。
commented by ST25@管理人
posted at 2008/04/16 23:11
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