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志村史夫 『こわくない物理学―物質・宇宙・生命』 (新潮文庫、2005年)
副題が示すように、この本は物質から生命から宇宙まで自然科学の基本的事項ではあるが知識なしに直感的に説明しようとしてもできないであろう現象について、幅広く説明されている。したがって、タイトルに入っている物理学に止まらず生物学、地学、化学の分野にまで対象は及んでいる。
本文中に時折出てくるお決まりの文明・科学批判にはうんざりするが、高校レベルの理科(物理学・生物学・化学・地学)をしっかりと修めていない人には非常に分かりやすい内容になっている。
具体的には、原子の構造やビッグバンや量子論などが説明されている。その中では筆者の関心に沿った物質や結晶の話や哲学的自然観なども盛り込まれている。
自然界には素人目にも(だからこそ?)人類にとって重要だが不思議な未だ解明されていない現象が依然として多い。本書でも述べられている、量子論的粒子エネルギーの非連続性や、ビッグバン以前の世界などなど。
このような人類の限界を直視するなら、確かに筆者が引用しているアインシュタインの言葉は理解できるところである。
「宗教なき科学は跛行的(≒不釣合い)であり、科学なき宗教は盲目である」(p251)
もちろん、ここで使われている「宗教」とは人知を超える宗教的感覚のことであって「神が世界を創造した」系の宗教のことではない。
ただ、科学者には人知を超える領域を前に「宗教的だ」と言ってひれ伏すのではなく、科学的態度を持って未知なる領域を何とか解明してほしいと思う。それが科学者に求められた使命であり倫理でもあると思うのだが。
もちろん、現在において人知の及ばない領域がある現実は受け入れなければならないが。
〈前のブログでのコメント〉
- 「宗教はアヘンである」
かのお方(達)は色々名言を残されておられます。 - commented by Stud.◆2FSkeT6g
- posted at 2005/07/09 19:57
- 偉大な科学者が宗教に目覚める話しはよく聞きます。
「空想から科学へ!」 - commented by やっさん
- posted at 2005/07/09 14:12