by ST25
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重松清 『きよしこ』 (新潮文庫、2005年)
吃音持ちの少年が小学一年生から高校三年生までの間に経験した7つの話からなる小説。
少年は、つっかかるのを恐れて「カ」行や「タ」行や濁音で始まる言葉を使うのを控えてしまう。そのため、いつも、言いたいこと、言うべきことが言えないでいる。
色々考えてしまい、言いたいこと、言うべきことが言えない、というのは誰にでもあることだ。
いずれにせよ、それは結局、自分の弱さによるものだったりする。
こうして、吃音の少年が描かれていながらも、その少年の姿が自分自身にオーバーラップしてくる。
弱い自分。そして、その弱さに発する数々の(甘酸っぱい)失敗を(一応)乗り越えてきた今の自分。
そんな普遍的でリアルな人間を描ける重松清は、実に人間のことをよく分かってるなぁと(改めて)思う。
そして、つい弱さが出てしまうときの微妙な状況や心の葛藤を見事にすくい取れる重松清の力量は、さすがだなぁと(改めて)思う。
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