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 赤川次郎 『早春物語(角川文庫、2011年)


 子供と大人の間の微妙な年頃である17歳の女の子が、背伸びをして大人の世界に足を踏み入れてしまう。そして、子供らしい浅薄な思慮から出てくる大胆な行動を重ねることで至った結末は、あまりに大きなものだった。


 この小説は、微妙な年頃の少女を描いているけど、その描き方は大味で、繊細な心理描写とか細かい設定とかにはあまり気を払われていない。

 その一方で、赤川次郎らしく、物語の展開に(ちょっとした)奇抜さがあって、ミステリー的な要素はある。とはいえ、あくまでここがこの小説のメインではないから、それほど大それたものではない。

 となると、小説全体では、深みもなくあっさりした、セールスポイントのない作品ということになる。

 

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