by ST25
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
海堂尊 『チーム・バチスタの栄光』 (宝島社、2006年)
「肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術」であるバチスタ手術のエリートチームで発生した連続術死の謎を万年講師のパッとしない医師・田口と、厚労省の変人役人・白鳥の二人で解き明かす医療小説。2006年「このミステリーがすごい!」大賞、通称「このミス」受賞作。
そこそこおもしろい。
同じく、ぶっ飛んだ医者が出てくる奥田英朗の伊良部シリーズ(『イン・ザ・プール』など3冊)よりはおもしろい。
ただ、話の前半、万年講師の田口の斜に構えた姿勢による物事のひねくれた解釈のおもしろさと、迫真のミステリーとが同時進行していたのが、後半、変人役人の白鳥が出てくると、白鳥の強烈なキャラばかりが前面に出てきて、田口のおもしろさ、緊張感のあるミステリーは完全に陰に隠れてしまう。それぐらい白鳥は強烈におもしろいのだが、話全体を思い返すと、前半は何だったのかと虚しい印象を受ける。
そんなわけで、著者の笑い、エンターテインメントのセンスを感じさせるいかにも現代的な娯楽小説。頭を休めたいときには最適な一冊である。
PR
この記事にコメントする