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 村上春樹 『アフターダーク(講談社文庫、2006年)


 ある日の深夜から夜明けまでの、いろいろな人々の姿を描いている小説。

 夜、刻一刻と時が過ぎていく様は、あたかも“闇と光の攻防”であるかのように見える。

 そして、その“闇と光の攻防”は人々の中でも繰り広げられている。

 その闘いの結果は人それぞれだ。

 光を見出せず闇へと落ちて行く人、闇へと落ちて行っていることに気づいてさえいない人、闇の中で生きていくことを受け入れている人、(闇の中を)闇からひたすら逃げ続けることを選んだ人、光を見出し闇から抜け出し始めた人・・・・。

 外にも内にも闇だらけの世界にあって、光として提示されているのは、過去の記憶、だ。

 もはや今という現実の中には(、あるいは未来には)光はないとも言えるが、「記憶」という燃料を燃やすことで照らし出される今という現実は、光に満ちているとも言える。

 ただ、いずれにせよ、なんとも心許ない光しか存在しない世界を描いていることに変わりはない。

 とするならば、「アフターダーク」というタイトルや「マリ」の結末といった個別の情報から想起されるところより、作品全体から感じる暗い雰囲気の方が、この小説の内容を適切に表していると言える。


 しかし、闇の象徴としてやくざ・マフィアを用いていて「闇」の描写が単純すぎたり、「光」の描写が簡単すぎて説得力に欠けたり、作品としては凡作。

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