by ST25
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奥田英朗 『イン・ザ・プール』 (文春文庫、2006年)
2002年に出たトンデモ精神科医・伊良部シリーズの最初の作品の文庫化。このシリーズのこの次の作品『空中ブランコ』は直木賞を受賞している。4月上旬には最新作『町長選挙』が発売される。
『サウスバウンド』の著者による『町長選挙』というタイトルの本。「これは興味深い」ということで、予習のためにこのシリーズの第一作を読んでみた次第である。
結論から言うと、「ありきたり」。
決して下手でもつまらなくもないけれど、新鮮味も驚きもない。
また、主人公の精神科医の描写も、まだキャラクターが定まりきっていない印象を受ける。著者のエンターテイナーとしての実力からすると片手間で書いたのではないかと思える。
しかし、この続きの作品が直木賞を受賞したというからには、受賞作はこの本よりはさらに磨きがかけられたのかもしれない。
そう考えると、直木賞受賞作『空中ブランコ』にも興味が沸いてくる。
何せ、基本的にはこの作家の作品の雰囲気は嫌いではないから。
とはいえ、この作品に感動してしまう読者(がいるとすれば)の経験値の低さ、想像力の貧困さ、視野の狭さには、他人事ながら哀れみを覚える。
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