by ST25
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大江健三郎 『M/Tと森のフシギの物語』 (講談社文庫、2007年)
1986年の作品の文庫化。ノーベル賞受賞に際して評価された作品でもある。
本の裏側の説明文で内容を紹介。
「 祖母から聞いた、四国の森の奥深くに伝わる「壊す人」と「オシコメ」の創造の物語を、MとTという記号を用いて書き記す。時の権力から独立した、一つのユートピアがつくり出される奇想天外の物語は、いつしか二十世紀の作家が生きる世界、われわれの時代に照応していく。海外で最も読まれている大江作品。 」
「飼育」や『芽むしり仔撃ち』といった初期作品における閉ざされた共同体の世界と、最近の作品である『取り替え子』や『憂い顔の童子』における森の神話の世界とが適度に融合されている。
換言すれば、現実の人間の暗くて沈潜した奥深いところと、ファンタジックな森の神話の世界の両者が、適度に緩和されつつ融合されている。
だから、読みやすいし、おもしろい。
思うに、内容からすると、日本人保守主義者なら絶賛すべき一作。
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