by ST25
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大江健三郎 『小説のたくらみ 知の楽しみ』 (新潮文庫、1988年)
1983~1984年に雑誌に連載されていたエッセーを集めたもの。
創作法、読書法、作家論、日常生活、昔の話などについて率直に(しかし下品にならずに)語られていて、楽しく読める。
この作家の初期の作品のイメージからは想像できないくらい、過剰な自意識といったものは見られない。
そして、プロの作家が他の作家をどう見て、小説をどう読んでいるか、あるいは、自身の作品をどのように考えて創ったのかといった、一般読者にとっては非常に興味深いけど当人としては話しにくいだろうことを包み隠すことなく開陳してくれている。
その具体的な内容は、特別講義のために滞在していたアメリカでのこと、選考委員を務めていた芥川賞のこと、(おなじみの)エリアーデやブレイク評、(珍しいし意外な)ヴォネガットやケルアック評など。
これらに自身の経験や自身の作品の話などが結び合わされている。
実際、読んで(読書の手引き以外)特に何を得られるということもないけど、読んでるときは楽しい時間を得られる本。これぞエッセー(集)の効用。
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