by ST25
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倉橋由美子 『暗い旅』 (河出文庫、2008年)
過去を回想しながら失踪した彼を追う旅を続ける「あなた」を描いた、1961年の恋愛・青春小説。
全てを分かり合え好きなはずの彼との間では性交による交わりを許すことができず、行きずりの相手となら誰とでも性交することが許せてしまう女性。その女性が、愛とは何か、本当の自分とは何か、という答えのない問題の答えを見つけるべく(、あるいは、見つからないことは分かりつつ)、さまよいの旅を続ける。
主人公の女性を「あなた」と呼ぶ語り手は、心の中の全てを見通し、表面を取り繕うだけの主人公の女性に、そして読者に、冷ややかに鋭く突き刺すように語りかけてくる。
「本当の愛」なんてものはない。「本当の自分」なんてものもない。その虚しい生を悲劇のヒロイン/ヒーローとして生きられる者のみ(愚か者は除く)が、人生をそれなりに楽しく生きられる。
つまらない小説。
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