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ヒキタクニオ 『ベリィ・タルト』 (文春文庫、2005年)
元ヤクザである芸能プロ社長が、ひょんなことから出会った家出少女を見初(みそ)めてアイドルとしてデビューさせていく物語。その過程でいろいろな障害に立ち向かう。
だけど、その少女がアイドルになろうと思う動機がとりあえずの住処を得るためというような気軽なものであるにすぎないにもかかわらず、その少女はなぜか厳しい食事制限、肉体改造、大手プロによる拉致監禁など数々の苦難に耐えていく。
前半に出てくる厳しい食事制限、肉体改造とかになぜ耐え得たのかは分からないままだけど、どうやら、後半の拉致監禁とかに関しては、元ヤクザな事務所の社長に対して愛情の混じった全幅の信頼を寄せているからだということが明らかになる。
ことほどさように、これから大活躍というときになって、少女はあっけなくアイドル業を辞めてしまう。
そんなわけで、いわば、浅薄な少女のちょっとした冒険記といった趣の話で、物語としてはおもしろさも見るべきところもほとんどない。
それに、こんな話に「ベリィ・タルト」というタイトルを付けてしまう時点で、よくありがちな、無理してお洒落ぶってる感じが出てて、古いというか、ダサいというか・・・。
とはいえ、(タイトルの是非とは直接は関係ないけど、)一応公平を期して「ベリィ・タルト」の説明が出てくるところを引用しておこう。
「 アイドルは固く焼き上げたパイ生地の中にねっとりと流し込まれたカスタードクリームの海に、身を沈めかけたベリィなんだ。それも、蜜とワインで甘く煮つめられたベリィなのさ。ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキなんて優しい代物じゃない。もっと凝縮され、頭の芯が痺れるほど深くて甘いベリィのタルトなんだよ 」(p100)
特に、うまくもない。
この本は、中学生とはいえ、大人なところもあって、その感性も信頼できるアイドル・仲村みうが紹介したり、薦めたりしていたから読んでみたけど、いまいちだった。アイドル仲村みうの実体験とシンクロするところはあったんだろうけど。