by ST25
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飯尾潤 『日本の統治構造』 (中公新書、2007年)
日本の統治システム=議院内閣制を丁寧かつ論理的に説明している良書。
「日本も三権分立」や「大統領制はリーダーシップを発揮できる」といった小中学校の社会の教科書的な俗説の誤りを正してくれる。
「官僚が全てを牛耳っているという官僚悪玉論」や「国会の議論は形式的で無意味」といった政治評論家・テレビコメンテーター的な俗説の誤りも正してくれる。
説明が、内閣、官僚制、政党、議院内閣制・大統領制と包括的になされているから、日本政治の優れたテキストにもなっている。
「官僚内閣制」、「省庁代表制」、「政府・与党二元体制」といった、特徴をよく捉えている独特な用語の使用も理解を促してくれてグッド。
ただ、日本政治の改革の方向性を提示している最後の6章・7章は常識的な内容にすぎないものばかりで、あまり有意義ではない。( ただ、“民主主義的要素を代表する衆議院に対して自由主義的要素を代表する参議院”という参議院改革の提案は例外的におもしろい。)
日本政治の政治学的な理解については、この本と竹中治堅『首相支配』(中公新書)の2冊で十分なのではないかと思う。( もちろん、他の細かい分野ごとの問題はあるけれど、「大枠としての日本政治のメカニズムの理解として」、ということでは。)
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