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by ST25
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 最近、硬めの本ネタばかりだから、たまには息抜き。

 今年の初めに、「今年は映画(劇場・DVDともに含む)の感想をもっと書こう」と思ったのだが、未だに一つも書いていない。もちろん、あまり本数を観てないというのもある。ただ、何よりあまりおもしろい作品に巡り合えていないというのが一番大きい。

 そこで、いまいちな作品の中から戦争映画に絞った上で、それらをまとめて取り上げることにした。

 
 
 
 まず一本目は、『ロード・オブ・ウォー(LORD OF WAR)』(主演:ニコラス・ケイジ)。去年の12月公開だからやや古い。戦争用の武器を売買する、いわゆる“死の商人”の話。主人公は、闇社会との抜け出せないくらい深い結びつき、莫大な富、家族、良心との間で引き裂かれる。事実に基づいた作品ではあるけれど、誰でも思いつくような単純な構図。しかも、それぞれの葛藤や緊張は深くないし、突っ込みも甘い。そんなわけでおもしろくなかった。
 
 
 
 二本目は、『ミュンヘン』(監督:スティーヴン・スピルバーグ)。こちらは現在も公開中。1972年、ミュンヘン・オリンピック中に、武装したパレスチナ・ゲリラ、“ブラック・セプテンバー”がイスラエル選手村に乱入し、選手・コーチ2名を射殺し、残りの9名を人質に取って立てこもった事件を基にした作品。映画は、事件後、パレスチナ・ゲリラへの復讐を命じられたイスラエルの工作員たちの活動・葛藤に焦点が当てられている。

 そこで描かれているのは、「暴力の連鎖の“恐怖”」だと感じた。そして、ここがまさに、良くも悪くもスピルバーグ作品らしいところだと思う。つまり、観ている最中は話の展開にドキドキするのだが、その話の展開による気持ちの高ぶり以外にはおもしろさや評価できるものがほとんどないということだ。今回の作品で言えば、政治的・社会的な題材を扱っていながら、結局、感想が“恐怖”という“感情のレベルのもの”でしかないのがそのことを表している。

 しかし、これは逆に言うこともできて、この監督は映画によって何がしかの感情を喚起する才能に長けていることにもなるのだ。ただ、今回の『ミュンヘン』にしろ、さらには前作の『宇宙戦争』はなおさらだと思うが、どちらも“恐怖”や“スリル”といった感情を引き起こすだけに終わっていて、それを使いこなせていないために、観終わった後に残るものがほとんどない。

 そんなわけで、スピルバーグには、喚起した感情を上手く利用することが求められるのだが、これは難しいだろうから、いっそのこと“扇情だけに特化した映画”を作ってみて欲しいと、最近の二作品を観て思った。
 
 
 
 最後、三作品目は、『ジャーヘッド』。これは湾岸戦争の兵士の記録を基にした作品。題材が「初めての現代戦争」と(たぶん)言われる湾岸戦争だけに、新しい戦争映画になっていることを期待したが、期待外れだった。(※以下、ややネタバレあり)

 スタンレー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』といったこれまでの戦争映画の有名なシーンを取り入れたり、結局イラクで銃を撃たずに帰ってくる兵士と身近な人を戦争で失った人とを対比させたりしながら、「戦争(体験)は人によって違うから戦争は一つではない」ということが一番言いたかったのだと理解した。

 ただ、主張が「戦争は人によって違う」というところで止まっているから、それを認識することがどういう意味を持ってくるのかが不明。しかも、戦争の多様性を示すのに、過去の戦争観=戦争映画や、色々な境遇の人を列挙しているだけだから、新しさを感じられずにつまらない。この映画を観るより、何本かの戦争映画を観た方がよっぽど“個人にとっての戦争の多様性”は理解できる。

 ちなみに、「現代戦」を扱った映画としては、ソマリアでの米軍特殊部隊の失敗を描いた『ブラックホーク・ダウン』が今のところ一番おもしろい。個人の心理というミクロな側面ではなく、戦場というややマクロな視点からの映画という点でこの『ジャーヘッド』とは異なるが。
 
 
 
 どの作品に対しても批判的に書いてきたが、映画は次から次へとベルトコンベアーのように映像が流れていってしまうから、一回観ただけだと、見落としたりしている可能性もあるし、もう一回観たら別の理解・評価が生まれてくる可能性も十分にある。ただ、だからといってあらゆる作品を二度鑑賞することもできないからそれは仕方がない。
 
 
 
 さて、近日公開も含めて最近興味を持っている映画は、CIAの諜報員を描いた『シリアナ』(3月4日公開)、差別や偏見などを描いた『クラッシュ』、言わずと知れた大作『ナルニア国物語』(3月4日公開)、主人公が公務員ということで(?)『県庁の星』(2月25日公開)といったところ。正直、『クラッシュ』以外はあまり期待していないが。

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