忍者ブログ
by ST25
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 伊坂幸太郎 『魔王(講談社文庫、2008年)


 伊坂幸太郎の小説。 以前読んだライトなミステリー『陽気なギャングが地球を回す』とは打って変わって、政治を題材にした小説。

 社会に広がる停滞や無気力を打ち破ってくれそうな一人のカリスマ指導者の登場に狂喜する国民たち。 その空気や奔流に危機感を覚え一人立ち向かおうとする、超能力は持っているがちっぽけな男。 高揚する国民たちと焦る男。 果たしてその勝負の行方は!?というような話。

 「解説」で斎藤美奈子は小泉首相の郵政選挙より前の2004年に発表されていて予言的だと書いているけれど、2001年の小泉が自民党総裁になったときも国民的な盛り上がり( 「自民党をぶっ潰す」とか「抵抗勢力」とかのとき )はあったから、それを意識して書いているのは間違いない。

 ただ、親米の小泉に対して反米で盛り上がっていたり、犬養という名の首相が何度も右翼に襲撃されていたりと、2001年の政治状況をそのまま描いているわけではない。

 だけど、いずれにせよ、あの頃および郵政選挙の頃の自分や日本社会の状況について内省を迫る作品であることは間違いない。

 というのは、かなり希望的観測であって、それでも「自分とは関係ないこと」としてスルーしてしまう人が多いのが現実である気がするけれど。

 そして、それは著者(伊坂)本人としては敗北感を感じる気がするけれど。 話の中ではファッショな空気や改憲で盛り上がる国民たちに対して批判的な考察がしばしば出てくるから。


 それから、一つ興味深いと思ったのが、カリスマに熱狂する国民たちに立ち向かう主人公が持っている超能力。 これは、自分が何かを言わせようと念じるとその人が本当に自分が念じたままを言うという能力。

 これはカリスマ指導者に熱狂する国民一人一人が行っていることに近いように思える。 つまり、不満や鬱屈感を晴らすために普通なら言えないような過激なことをカリスマ指導者を通じて言う( or に言わせる or に言ってもらう )という状況に。

 政治では、一人が念じるだけでは実現しない。 それが圧倒的多数になった時、その念じた内容はカリスマ指導者(独裁者)を通じて実現することになる。


PR
 ただの興味本位で、トヨタのハイブリッドカー、プリウス(2代目=一つ前のモデル)をレンタカーで借りて乗ってみた。

 基本的には今までの自分が経験してきた車体験との相対的な評価で、箇条書き的にいくつか気付いた点をあげつらっていく。


 まず、静か。 トヨタの高級車に位置付けられる車にも勝るとも劣らない。 50kmくらいでもそれは変わらない。

 そのこととも関連して、当たり前ではあるけど、加速は緩やかで、決して爆発するような加速感はない。 それでも、だからといって他の車から遅れをとるほどのことはない。 それに、60~70km出しても辛そうな感じはまったくない。

 言うまでもなく、燃費が格段に良い。 常軌を逸してるくらい良い。

 丸々太ったボディから想像される通り、室内は広々してて開放感に溢れている。

 そして、その丸みと関係あると思うけど、車幅の感覚がつかみにくい。 室内の作りも丸っこくて、どこまでが車体かというのがはっきりしないからだと思う。 それから、乗っていると車自体が大きいと感じたけど、改めてボディサイズを見たら意外なほど小さくてびっくりした。 この点、アメリカ向きに造られた巨体なカムリの方が感覚としては小さく感じたくらい。 (もちろん、車体の大きさの感覚は慣れが重要ではあるけれど。)

 スピードメーター等がダッシュボードの奥の方にあって普通より遠くにある。 乗る前はどうかと思っていたけど、実際乗りながら見ると見やすい。 視点の移動がかなり少なくて済むから。 スピードメーターをよく気にしながら運転する人には良い。

 シートは人工的な素材だけど、座り心地はソフトで快適。

 外観は、現在の3代目の方がかっこよさがある。 現行モデルは、フロントグリルの青いトヨタマークの存在に焦点が収斂していくことによってぴしっとまとまりが出ている。


 気付いたのはこんなところ。 燃費の良さに特徴のある普通のクルマですな。


 それにしても、プリウスがこれほどまでに売れる理由は一体何?

 燃費の良さ(ガソリン代が安くて済む)? デザイン? 環境志向??? 流行に乗ってるだけ(付和雷同的な)?

 別に悪い車では決してないとは思うけど、ここまで売れる理由が分からない。

 ワイルド・スピード(1)(2)(3)』 (監督:(1)=ロブ・コーエン、(2)=ジョン・シングルトン、(3)=ジャスティン・リン/(1)=2001年、(2)=2003年、(3)=2006年/アメリカ


 カーアクションが売り物のハリウッド映画。 どの作品も日本車( スカイラインGT-R、ランエボ、フェアレディZ、スープラなど )が活躍する。 3作目は東京が舞台。

 1作目が一番おもしろくて、2,3と進むにつれておもしろくなくなっていく。

 3作を通じての一番のハイライトは、1作目の、高速でトラック強奪に苦戦するシーン。 黒光りしているシビックがやたらかっこよく見えるし、武装したトラックのドライバーの姿がはっきり見えないのが不気味さを演出していてよい。

 

 寺島実郎 『世界を知る力(PHP新書、2009年)


 アメリカ的視角の相対化、人的ネットワークの重要性、米中関係の中での日米関係、世界に開かれた知の養い方を、それぞれ事例や自己の経験を紹介しつつ書いている。

 寺島実郎の本としては、(最終的な主張としては同じでも )内容的な新しさもあり、それなりにまとまりもあり、おもしろかった。

 政権交代が起こり、日米関係をはじめとする外交も今までと同じではあり得なくなった。 これからの日本の外交はどう進むべきか。 日本のメディアの「 アメリカの言うことに従うか、従わないか 」というあまりに狭小で愚昧な視点だけでは何も語ることができない。 ( ちなみに、メディアは、「従う」と「アメリカの言いなり」、「従わない」と「日米関係の重要さが分かってない」と批判する。)

 この本は、あまりに世界に目を開いてこなかった日本社会が、国際政治、国際社会の様態を知るのに有意義な視点を提起してくれている。

 先に読んだ宮台真司と福山哲郎の本でも主張されていたが、冷戦時代のままの日米関係は変えなくてはならないのだろう。 いずれにせよ、こちら(日本)が先に変えるか、向こう(アメリカ)から変えてくるか、だ。 寺島実郎に言わせれば、 日米関係は米中関係 なのだ。 こちらがゴマすって継続を望んでも、あちらが急に翻すことはあり得る。 プラグマティズムの国だ。

 では、日米安保を基軸にしつつアメリカ追従から脱却するにはいかにすべきか。 民主党政権が行おうとしているのはこれだろう。 しかし、この難題の解き方を指南している本や新聞や雑誌は皆無だ。( マスコミはこの問題意識を共有さえできていない。)

 動くべきだが動き方が分からない。 とりあえず必死に勉強するのも一つの手だろう。

 宮台真司、福山哲郎 『民主主義が一度もなかった国・日本(幻冬舎新書、2009年)


 以前から知り合いだった社会学者の宮台真司と外務副大臣の福山哲郎が、政権交代によって起こった/見知ったことについて対談している本。 (とはいえ、宮台が7割くらい話しているけど。)

 民主党政権がようやく「外交」を始めたことで明らかになったマスコミなどの短絡的・表面的な思考の愚かさや、政権交代が起こる時代になったという変化に着いてこれない官僚などの愚かさの問題点はよくわかった。

 ただ、 福山さんが続けた。 『 官僚の方々と遣り取りを続けてきて、民主党が政権を取らなければ分からなかったいろんなことが分かったんですよ。 例えば、こんなこととか、あんなこととか・・・・ 』。 とてつもなく面白い話だったので、僕はすぐに懐から携帯電話を取り出した(p6)という、「まえがき」で書かれているこの本の出版のきっかけのエピソードから期待されるほどは、面白さも衝撃もなかった。


 それから、宮台がこれからの日本の進むべき道として、「談合主義+参加主義」( 対極の位置に「市場主義+権威主義」がある )を提唱している(p24など)が、いまいちどういう仕組みを想定しているのかイメージできなかった。

 ヨーロッパ的な談合主義(=コーポラティズム?)は労働・経営などの各セクターの代表が集まって話し合うもので参加主義とは相いれず、むしろ権威主義的である。 それに、「市場―談合」、「権威―参加」という2つの軸を出しているが、「市場」は「参加」と親和的で、「談合」は「権威」と親和的というのは、考えてみれば当たり前だ。

 対談本とはいえ、わざわざ表を作るほど有効な視点だとは思えない。


 そんなこともあり、外交的な話についてのリアリスティックな視点以外はあまり有意義ではない。 福山の官僚についての逸話も、自民党政権になじんできた官僚であればいかにもありそうな話でしかない。( 資料としての価値はあるにしても。)

カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新コメント
[10/20 新免貢]
[05/08 (No Name)]
[09/09 ST25@管理人]
[09/09 (No Name)]
[07/14 ST25@管理人]
[07/04 同意見]
最新トラックバック
リンク
プロフィール
HN:
ST25
ブログ内検索
カウンター
Powered by

Copyright © [ SC School ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]