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 辛酸なめ子 『アイドル万華鏡(河出文庫、2010年)


 広末涼子、上戸彩、小倉優子、安倍なつみといった、いわゆる「アイドル」から、押尾学、稲川淳二、ダライ・ラマ、美川憲一、クリスチャン・ラッセンといった一部の人たちには偶像(アイドル)のように見られている人たちまで、総勢33人について、冷やかな( だけど、どことなく温かみのある )視線を浴びせかける エッセー集。

 この本全体に共通しているのは、本人とその取り巻きたち(ファン)にとってはいたって真面目なものを、はたから冷静に見て、とっても滑稽な別のものに見立ててしまう妙技とユーモア。

 もう少し細かく見ていくと、まず、いわゆる「アイドル」についての前半は、タブーを恐れぬ勇ましさは爽快なんだけど、分析というか視角というかはそれほど切れ味もなく、正しいのかどうかも微妙で、イマイチ。

 後半の、いわゆる「アイドル」以外の人たちの方は、どれも筆者自らがイベントに参加しての(イベント自体とイベント参加者たちについての)潜入レポ。

 稲川淳二の怪談ナイトとか、ダライ・ラマの来日講演とか、美川憲一のライブ&握手会とか、X JAPANのToshiのスピリチュアルコンサートとか、クリスチャン・ラッセンの展示即売会とか、t.A.T.uの東京ドームライブとか、マツケンサンバ in 東京ドームとか、アングラっぽいものばかりに参加していて、その内容自体もどんなものなのかとっても気になるし、そこに参加している人たちもどんな人たちなのかとっても興味をそそられ、そのレポというだけでおもしろいこと間違いない。

 にもかかわらず、その上さらに、それが脱力系な筆者によって報告されるのだから、すごくおもしろい。

 筆者みたいな人に冷静に実に素直に観察されると、ヨン様のファンとか、美川憲一のハンカチにキスとか、押尾学の叫びとか、マツケンサンバの熱心なファンとか、Berryz工房とファンとのMC中の掛けあいとか、氷川きよしのリップサービスとか、(もちろん他人事ではないところもあるのを認めつつ、)人間ってなんて下らないことをやってんだって思えてきて悲しくなってくる。

 こういうのは、芸能に限らず、政治、スポーツ、ファッション等々、どこにでも見られるものなのだろうから、誰でも無縁で生きてはいけないのだろうなぁ。

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 小谷野敦 『日本文化論のインチキ(幻冬舎新書、2010年)


 土居健郎『「甘え」の構造』、「恋愛輸入品説」、渡辺京二『逝きし世の面影』、ラフカディオ・ハーン、山本七平といった「日本人論」の「名著」を、学問的ではないという観点から罵倒している本。

 こういった「名著」たちは、西洋対日本という単純な二項対立に落とし込んでいたり、歴史のほんの一部を一般化していたり、個人的なイデオロギーを正当化しようと必死だったり、といった欠点がある。 のは、有名な話だ。 ( それに、自分で読んでこれらの欠点に気付くことだって難しくはないはずだ。)

 にもかかわらず、尽きることなく、それらが「名著」扱いされたり、新たな装いで登場したり、(説教的な話で)その人に都合のいいように用いられたり、している。

 そんなわけで、それらを改めてけなしておくのは無意味なことではない。

 ただ、この本は、殴り書き的で、色々な人や本が雑然と登場しすぎて少しまとまりに欠けるのが難点だ。 裏表紙に書いてあるみたいに、欠点を箇条書き的に列挙しながら論じるだけでも、、もっとすっきりしたものになっただろうに、とは思う。

 車を買ったのだ。

 車を好きになったのは小学5年生のとき。 その頃は小遣いも少ないから、毎週末に来る新聞の折り込み広告をファイルしながら集めて何度も見ていた。 何冊か買った車雑誌は何回も何回も見(読み)返した。 そして、その度に心躍らせていたものだ。

 その頃、一番好きだったのは、セルシオ(初代)。 今は、レクサスLSになり、セルシオという名前は消えてしまったけど、世界に誇る日本の上質な高級車は、いかにも憧れの対象としてぴったりの車だった。 そして、その趣味の方向性から、プレジデント(先代)、ロールスロイス、ベントレー、マイバッハ、センチュリーといったVIPカーがたまらなく好きだった。 本当にたまらなかった。 (今でもたまらないけど。)

 その当時、スポーツカーはそこまで好きではなかった。

 それが、学生の頃に、新たに、F1にはまった。 土日の深夜はテレビにかじりつき、雑誌を買い、鈴鹿にも行った。 あの音と匂いは格別な官能的な記憶として今も残っている。 ジョーダン・ホンダのあの絶妙な黄色のマシンは、今でも最高にカッコイイと思っている。 そして、フェラーリ、ランボルギーニ、NSXといったスポーツカーも好きになった。 ( F1からホンダもトヨタも撤退した今でも、以前よりは落ちるけど、F1は好きで見続けている。)

 その後、さらに新たに、WRC(世界ラリー選手権)が好きになった。 特に、スバルの光り輝く青いインプレッサがソルベルグとのコンビで世界の他の車たちを負かす勇姿には惚れ惚れしたものだった。 そして、そんな青いラリー車とほぼ同じ形・色の車をそこらの道で見かける度に心躍らせたものだ。 ( スバルも三菱もWRCから撤退してしまい、ラリー界を席巻していたインプレッサとランサー・エボリューションはともにモデルチェンジをした。 ただ、どちらもその新型もカッコイイ。)

 そんなこんなで、車のストライクゾーン( ホームランを打てるくらいの )は、高級車、スポーツカー、ラリー車となかなかに幅広くなったのだった。


 そんな中、何を買うべきか。 もちろん、色々な現実的な条件の制約の中で。


 予算の制約は大変に厳しい。

 取り回しなど、実用に耐える車でなくてはならない。

 高い金払って買ったものが故障ばかりするのは精神的・経済的にきつい。(中古車の場合。)

 車を買うのは初めてだから、買ってから後悔しないような、無難な選択をするのは悪くはない。

 エコカー減税、補助金は今しかない仕組みだ。

 とはいえ、思えば、自分の一生の中で、車を買う機会なんて何回もあるものではない。 中途半端な車を買ってのんびりしている暇はない。 思い切って、攻撃的に、憧れている車を最初から買うべきではないか。


 てなことを、毎月7~8冊の自動車雑誌を買って読み、YouTubeで色々なインプレッションや走ってる姿を視聴し、道路ではいつも車ばかり見ながら歩き、何度も何度も思案した。 その間、半年近く。

 そうして、ようやく決断した。



 買ったのは、日本が世界に誇るラリーベース車、旧型インプレッサ。(中古。)

 WRCのラリーに特にはまっていた頃、もの凄くカッコイイとは思っていたけど、外見がかなり派手だし、マニュアルだし、ハイパフォーマンス・カーだし、心臓の小さい自分が買うことは絶対ないだろうなぁと思っていたのが、まさか買うことになるとは。 自分自身の変化も含めて色々と感慨深いものがある。
 

 坂本敏夫 『死刑と無期懲役(ちくま新書、2010年)


 刑務官だった著者が、刑務所や拘置所で経験した、死刑の執行や死刑囚との交流などを綴った本。

 直に死刑囚たちと接してきた著者は、凶悪犯罪を犯した死刑囚たちが人間らしい側面を見せる場面にたくさん遭遇してきている。

 世間から隔離されている中での、報道もされない、そんな現実の一側面を白日のもとにさらすことは、死刑制度を考える上での有益な材料の一つとして非常に意義がある。

 もちろん、人間には二面性があり、その良い側面だけを見て死刑を云々するべきではないけれど。


 思うに、死刑だけが犯罪者の更生を考慮せず、一般抑止力や被害者感情だけで人を扱わざるを得ない現実はバランスを失している。 更生しつつある人に対してあっ気なく刑を執行せざるを得ない現実は色々と考えさせられる。

 人手やコストはかかるけれど、やはり終身刑を導入すべきだとは思う。

 大江健三郎 『「伝える言葉」プラス(朝日文庫、2010年)


 日常生活、時事問題、障害のある息子の音楽への関わり方などについてのエッセー集。

 1つ1つ適切な言葉を慎重に選んでいて、ありきたりな表現とは違った表現を味わえる。

 その一方で、(時事問題についてのものが特にそうだけど、)言っている内容自体は取り立てて面白み、新鮮さがあるわけではない。 ( 大江健三郎の小説創作法や読書法や日常生活に興味があれば多少は面白みもあるけれど。)

 そんなわけで、なんだかんだで最後まで読めるけれど、それほどおもしろい本ではない。

 

 

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