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宮台真司、福山哲郎 『民主主義が一度もなかった国・日本』 (幻冬舎新書、2009年)
以前から知り合いだった社会学者の宮台真司と外務副大臣の福山哲郎が、政権交代によって起こった/見知ったことについて対談している本。 (とはいえ、宮台が7割くらい話しているけど。)
民主党政権がようやく「外交」を始めたことで明らかになったマスコミなどの短絡的・表面的な思考の愚かさや、政権交代が起こる時代になったという変化に着いてこれない官僚などの愚かさの問題点はよくわかった。
ただ、「 福山さんが続けた。 『 官僚の方々と遣り取りを続けてきて、民主党が政権を取らなければ分からなかったいろんなことが分かったんですよ。 例えば、こんなこととか、あんなこととか・・・・ 』。 とてつもなく面白い話だったので、僕はすぐに懐から携帯電話を取り出した。」(p6)という、「まえがき」で書かれているこの本の出版のきっかけのエピソードから期待されるほどは、面白さも衝撃もなかった。
それから、宮台がこれからの日本の進むべき道として、「談合主義+参加主義」( 対極の位置に「市場主義+権威主義」がある )を提唱している(p24など)が、いまいちどういう仕組みを想定しているのかイメージできなかった。
ヨーロッパ的な談合主義(=コーポラティズム?)は労働・経営などの各セクターの代表が集まって話し合うもので参加主義とは相いれず、むしろ権威主義的である。 それに、「市場―談合」、「権威―参加」という2つの軸を出しているが、「市場」は「参加」と親和的で、「談合」は「権威」と親和的というのは、考えてみれば当たり前だ。
対談本とはいえ、わざわざ表を作るほど有効な視点だとは思えない。
そんなこともあり、外交的な話についてのリアリスティックな視点以外はあまり有意義ではない。 福山の官僚についての逸話も、自民党政権になじんできた官僚であればいかにもありそうな話でしかない。( 資料としての価値はあるにしても。)