[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
パオロ・マッツァリーノ 『日本列島プチ改造論』 (大和書房、2009年)
出版社のHP上で連載されていた短いコラムを100個集めたもの。
例のごとく、社会問題とかにおもしろおかしくツッコミを入れつつも、何気に物事がよく見えてるのでは?と思わせる冷静さ・冷ややかさを兼ね備えた視線が垣間見えつつも、そんなことよりやっぱり何よりおもしろい!、という特徴が、今作ではけっこうよく出ている。
読み終わった後、言われてみれば、自分のウジウジした思考はなんて愚かで滑稽だったんだ!と爽快な気持ちになれる。
マッツァリーノの本の中では、(大きな差はあるけれど一応順番では、)『反社会学講座』(ちくま文庫)に次ぐ出来。
思えば、デビュー作で見せた「統計漫談」はどこへやらという感じだけど、短いコラムだし、「データ命」の経済学者でもないから、別におもしろければ構わない。
ただ、マッツァリーノといえども誰かに反論しようと必死になって余裕がなくなるとおもしろくなくなる。 というのは『つっこみ力』(ちくま新書)で実証されているところではあるのだけれど、今回の本でもまたその悪い癖が少し出ているのは残念なところ。
それにしても、総理大臣が所信表明演説した直後に辞めちゃったり、農水大臣が顔にバンソウコー貼ってる理由をなぜか言い渋ったり、総理大臣が「未曾有」を「みぞうゆう」って読んでしまったり、少子化担当大臣が子供を作って見せたり、財務大臣がへべれけな状態(に見える状態)で国際舞台の会見に登場してきたり、という現実は、いちいち何か付け加えなくてもそれ自体でとってもおもしろい。