by ST25
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佐野眞一 『クラッシュ――風景が倒れる、人が砕ける』 (新潮文庫、2009年)
JR西日本脱線転覆事故、17歳による殺人事件、雪印食中毒事件、東海村JCO臨界事故、阪神大震災、NY同時多発テロといった重大事件を追ったノンフィクション。
この手のノンフィクションは、重大な出来事を忘れないためにもいいけれど、それより、発生当時の報道を見ていただけだと、衝撃ばかりが大きくて、原因や実際の状況についての( 推測ではない確かな )情報が驚くほど貧困であるという状況を修復させてくれるところが有益。
阪神大震災のあの上空からの映像の下で何が起こっていたのか、雪印食中毒事件の背景にあった問題とは何か、そもそも東海村臨界事故はどのようにして起こったのか、同時多発テロ発生時に現地にいた日本人は何をしていたのかなど、いろいろ教えてくれる。
大事件や大事故を消費しているだけの状態には( ならないように )自覚的でありたいものだ。
ちなみに、この筆者は、まとめやコメント部分では、感傷的な、あるいは文学的な文を書く。 ただ、「ように思った」とか「ように見えた」とか断定口調ではないため、押し付けがましくならず、さほど気にはならない。
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