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神田秀樹 『会社法入門』 (岩波新書、2006年)
新書を集中的に読む【新書週間】の1冊目。
5月から全面的に新しく施行される会社法のスタンダードな作りの概説書。
法律の中の一分野として見ると興味を惹かれない会社法も、青木昌彦らによる比較制度分析などのようにマクロな経済制度や金融制度の一つという観点から見ると興味を惹かれる。
実際、この本でも、最初の第1章「なぜ、いま新「会社法」か」、および、最後の第5章「会社法はどこへいくのか」では、大きな文脈から会社法を捉えている。そこで重視されるのは、IT環境の激変、資本市場の拡大、国際競争の激化、コーポレート・ガバナンスの重要性の高まり(一国の経済パフォーマンスに与える影響も含む)、という4つの点である。
一方、具体的な法律の内容に関しては、ガバナンス、ファイナンス、リオーガニゼーションの3つに分けて第2章から第4章で解説されている。こちらは、1章と5章の総論と違って話が細かくなるだけに素人には少々きつかった。一国の経済制度や金融制度への興味から入った自分のような人間にとっては、総論の内容との結びつきをもっと意識してくれるとありがたかったと思うが、それでは「会社法入門」にはならなくなってしまうという問題があるのも確かである。
とはいえ、この本では、従来の法制度から新しくなった部分だけを解説するのではなく、会社法全体を包括的に解説してくれているから、初心者にも優しい作りになっている。
それにしても、有限会社と株式会社が統合されて一つの制度になるというのが、個人的には、新しい会社法の中でもっとも大きな驚きどころだった。だから何ということもないけど。