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与謝野馨 『堂々たる政治』 (新潮新書、2008年)
前官房長官が最近の政治や自分のこれまでについて語っている新書。
おもしろいの/有益なのは、これまでの人生の歩みを語っている4章と5章だけ。(8つ章があるうちの。)
帯に書かれてる「 耳障りなことを言う。それが私の仕事である。 」というのの「耳障りなこと」として出てくるのは兼ねてからの持論である消費税10%論くらいなもの。
あとは、(本人はそうは言わないけど)ただひたすら「バランスが大事/行き過ぎはダメ」と言ってるだけ。
その他、自己矛盾や恣意的な自己正当化もしばしば。( 例えば、小泉構造改革(「国家観なき市場原理主義」らしい)は小泉首相が誕生した2001年の時点では正しかったけど、今はもうダメなんだって。あっ、でも、小泉首相は国民の意識を高揚させただけで実際には大して何もやってないとも言ってた。)
中でも特にいただけないのが、当事者意識の欠如。政治家というより政治評論家みたいな物言いが多い。例えばこれ。
「 構造改革、格差、規制緩和といった大雑把な括りではなく、個々のケース、現実に即して、マイナーチェンジで済むものと、土台から仕組みを立て直すものとを峻別することが必要だ。その上で、日本中の英知を集めて、新たな仕組みを設計していく。
これからの政治家の仕事としては、こうした日本のいろいろな仕組みの再設計が一層重要になるだろう。 」(p80)
ってのを、「はじめに」でではなく、章の終わりの「まとめ」で言ってしまうあたり。( あっ、でも、政治家は大まかな方向性を示すことが仕事で、あとの制度設計は官僚の仕事だとも言ってた。)
耳障りなことを言わせてもらえば、もはや、百害あって一利なし。さようなら。