by ST25
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庄司薫 『赤頭巾ちゃん気をつけて』 (中公文庫、1973年)
久しぶりに読み返してみた。青春小説の最高傑作。1969年の作品。
これぞ“男の子”。
理想と現実との間で、社会正義と自分自身のこととの間で、ホンネとタテマエとの間で、感情と理性との間で、性欲と理性との間で、葛藤し、(現実のどうしようもない自分に)打ちのめされ・・・。 それでも、開き直らずに健気に生真面目に頑張ろうとし・・・。 やっぱり、打ちのめされ・・・。
世の男性というのは全てこういうコト・内的体験へのその人なりの反応の結果だとさえ、自分には思える。
それにしても、確かに、現実、自分自身のこと、ホンネ、感情、性欲というのは強固な実在ではあるのだけど、それでも、理想、社会正義、タテマエ、理性といった虚妄のようなものの存在によってこそ、あるいは、その実在と虚妄との間の葛藤によってこそ、なんとか、社会は危ういバランスや健全さを保つことができているのではないだろうか。
実在にだけ生きたり、虚妄を実在だと思いだしたり、実在と虚妄との葛藤の存在を忘れたりしたら、その社会やその人は危ういと見るべきだろう。
戦後民主主義を生きる男の子の想いと行動を描いた傑作。
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