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 今年も一年の終わり(のちょっと前)に、新聞の書評欄で行われているこの企画を。

 今年も、2006年に出版された本のベスト3と、今年以前に出版されたけれど自分が今年読んだ本のベスト3とを分けてそれぞれ選んだ。

 

 〈2006年に出版された本・ベスト3〉
 
 ①R.ドゥブレほか『思想としての〈共和国〉
  (みすず書房/感想記事
 ②S.シン『フェルマーの最終定理
  (青木薫訳/新潮文庫/感想記事
 ③田中詔一『F1ビジネス――もう一つの自動車戦争
  (角川oneテーマ21/感想記事

 3冊とも記事で感想は書いたけど簡単に一言。

 ①は過激に共和主義を擁護した本。今年は、大森秀臣『共和主義の法理論』もあって、以前から親近感を抱いてたけどいまいちよく分からなかった共和主義に、積極的にコミットするようになった。この共和主義に対する態度の変化は今年の大きな成果・深化の一つ。 ②は17世紀以来の難問、フェルマーの最終定理が証明されるまでの話。今年文庫化。数学のおもしろさと物語のおもしろさが合わさって、満足感の高い重厚なおもしろさを味わえる稀有な一冊。 ③は第3期ホンダF1活動の現場最高責任者だった著者がF1に対する熱き想いを率直かつ冷静に語った本。内部事情にも精通している著者が「F1の政治学(権力)/経済学(金)」的な観点からF1の魅力をいかに維持していくかを考えている。もっと注目されてしかるべきだった、と思わずにはいられない。

 ちなみに、惜しい次点は中原伸之『日銀は誰のものか』(中央公論新社、→感想記事)。著者の経済分析力の正確さと日銀の愚かさがよく分かる本。その政治バージョンとしては、猪瀬直樹『道路の権力』(文春文庫→感想記事)が、著者の頭の良さと官僚の愚かさがよく分かっておもしろい。
 
 
 

 〈2006年以前に出版された本・ベスト3〉
 
 ①P.クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門
  (山形浩生訳/日経ビジネス人文庫、2003年/感想記事
 ②大江健三郎『性的人間
  (新潮文庫、1968年)
 ③おおつやすたか『まるくすタン~学園の階級闘争~
  (サンデー社、2005年/感想記事

 共和主義と並んで今年の一大成果の一つが経済(日本経済、経済学)について。①はその経済勉強熱を一気に加速してくれた本。軽妙な訳がおもしろい読み物にしてくれている。 ②は大江健三郎28歳頃の作品。大江健三郎の初期作品は好き嫌いがかなりはっきりしそうだけど小説的なおもしろみに満ちている。最近の悟ってしまったような大江健三郎には書けない精神的な深み(混沌)もある。 ③はマルクス主義を萌え系学園ドラマにしたバカ小説。笑える。
 
 
 
 今年、ブログで取り上げた本が137冊。取り上げてない本を含めると200冊近く読んだと思われる。

 今年は文芸系が少なくて社会系が多かったから、良くも悪くもない数。

 今年の特徴は、なんといっても経済系の本が多かったこと。

 やや景気が上向きになり始めている状況ではあったけど、バブル崩壊以降のデフレについて俗説を離れて経済学上の通説に至ることができた。ただ、純粋な経済学の方は全く反復してないから忘れてしまって使い物にならないのが現実。

 来年特に読みたいもの(本、人、分野)は思い浮かばないけど、脳科学と認知心理学は勉強したい。(と、今年から既に思ってるけど、茂木健一郎から入っては行きたくなくてなかなか踏み込めずにいる。)

 というか、今現在、読み途中の本、読むことが決定していて買ってある本が(いつも以上に)たまっていて、総括するような気分ではない。残りの年末と年始で読み終えて早くすっきりしたい。



〈前のブログでのコメント〉

文芸系なら三島の『豊穣の海』。社会系なら船橋洋一の『ザ ペニンシュラ クエスチョン』がお薦めです。
commented by やっさん
posted at 2006/12/30 09:29

三島は、テレビドラマ化されたり話題になっているときに読みたいと思ったけど、結局読まずじまい・・・。いつか読む可能性はありますw
『ペニンシュラ』の方は読むつもりです。ただ、学術系ではないノンフィクションの読み物が2500円は高いので、古本屋でせめて半額(105円ならなお可)で見つけてからですw

そういえば、竹中参院議員も大臣のときの話を出しましたよ。まだ読んでませんが、飯島秘書官の本より政策的な話が多そうです。
commented by Stud.@管理人
posted at 2006/12/30 14:43
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