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 猪木武徳 『経済成長の果実1955~1972 〈日本の近代7〉 (中央公論新社、2000年)
 
 
 〈日本の近代〉シリーズの通史編の一冊。高度成長時代の経済、政治、社会の姿がなかなか活き活きと描かれている。現代史は、経済史、政治史、文化史、政党史、新聞史など、どうしても領域ごとや下位領域ごとのものが多くなってしまう中で、このような当時の全体像を扱った本は貴重だし、ありがたい。

 ただ、全体像とは言っても、どうしても政治と経済に比重が置かれ、大衆文化といったものの扱いが少なくなっているのはやむを得ないところか。

 また、著者は経済学者ということもあり、経済に関する記述では少々多めにスペースを割いて、俗説を経済学の成果を用いて批判したりしているのはこの本の一つの特徴だろう。例えば、日本の貿易依存度の例外的な低さを示して、日本の高度成長が輸出ではなく国内需要によるものだとするところや、8割以上を占める中小企業労働者の企業間移動率は大企業とは違って低くはないことを示すところなどである。

 ただ、そんなこの本の落ち着いた記述の中で異色を放つのが最後の「エピローグ」である。ここでは著者の個人的で感覚的な道徳観全開で所感が述べられている。そのため、読後感を後味の悪いものにしてしまう。この本を読むなら、「エピローグ」は読まない方が良いだろう、と個人的には思う。

 しかし、何はともあれ、この時代はやはり全体的に成功基調の時代だったなあ、と感じる。

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