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立花隆 『解読「地獄の黙示録」』 (文春文庫、2004年)
先日、DVDでフランシス・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録(特別完全版)』(英語だと「Apocalypse Now (Redux)」)を観たらすっかりはまってしまった。
この映画はベトナム戦争を描いた作品なのだが、奥の深い象徴的・哲学的な作りになっていてその意味を理解・解釈するには非常に難解である。こういう、一回観ただけでも十分に楽しめるけれど、しっかりした意味や解釈を得るためにはさらにいろいろ考え込まなければならない作品は大好物だ。(ただし「好きこそ物の上手なれ」は怪しいので要注意。)
そんなわけで、早速、関連書籍を4冊とCDを1枚購入した。その中の一冊がこの立花隆にによる解読本だ。立花隆がこんな本を出していたことには驚いた。立花隆は「はじめに」でこんなことを言っている。
「私がなぜこの映画に関して、これほどしつこく語りつづけてきたかというと、この映画が、映画史上最も特異的に面白い作品だと思っているからである。/これはコッポラが自分自身でいっていることなのだが、この映画は、内容の深さにおいて、はじめて世界文学に匹敵するレベルで作られた映画である。」(p10)
ものすごい誉めちぎりようだが、この本を読むと、この映画が確かに世界文学並みの奥深さを有していることは納得させられる。
さすがに立花隆だけあって(とはいえ、立花隆の理系の書き物は結構怪しいと思っているが)、巷に溢れている“自称・映画評論家”による“映画感想文”とは違って、しっかりと映画の解明・評価が試みられている。
具体的には、コッポラ夫人による『撮影全記録』やコッポラ監督のインタビューといった直接的な資料だけでなく、コンラッド『闇の奥』、フレイザー『金枝篇』、エリオット『荒地』といったこの映画に大いに関係する文学・詩を引きながら、内容の解釈を提示している。
この本には映画にまつわる様々なエピソードや基本的な関連情報、それに一般的な解釈が書かれていて、自分なりにこの映画の解明を試みようとしている人間にとっては最適の入門書だ。
そんなわけで、ここで書かれている説明や解釈をベースにして、この夏の間中に『地獄の黙示録(特別完全版)』の自分なりに納得できる理解を得たい。
なんか、いつもに増して内容のない記事になってしまったが、いつの日にか書くかもしれない『地獄の黙示録』の感想のための予告・布石として、たまにはこんなのもありかと。