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寺島実郎 『世界を知る力』 (PHP新書、2009年)
アメリカ的視角の相対化、人的ネットワークの重要性、米中関係の中での日米関係、世界に開かれた知の養い方を、それぞれ事例や自己の経験を紹介しつつ書いている。
寺島実郎の本としては、(最終的な主張としては同じでも )内容的な新しさもあり、それなりにまとまりもあり、おもしろかった。
政権交代が起こり、日米関係をはじめとする外交も今までと同じではあり得なくなった。 これからの日本の外交はどう進むべきか。 日本のメディアの「 アメリカの言うことに従うか、従わないか 」というあまりに狭小で愚昧な視点だけでは何も語ることができない。 ( ちなみに、メディアは、「従う」と「アメリカの言いなり」、「従わない」と「日米関係の重要さが分かってない」と批判する。)
この本は、あまりに世界に目を開いてこなかった日本社会が、国際政治、国際社会の様態を知るのに有意義な視点を提起してくれている。
先に読んだ宮台真司と福山哲郎の本でも主張されていたが、冷戦時代のままの日米関係は変えなくてはならないのだろう。 いずれにせよ、こちら(日本)が先に変えるか、向こう(アメリカ)から変えてくるか、だ。 寺島実郎に言わせれば、「 日米関係は米中関係 」なのだ。 こちらがゴマすって継続を望んでも、あちらが急に翻すことはあり得る。 プラグマティズムの国だ。
では、日米安保を基軸にしつつアメリカ追従から脱却するにはいかにすべきか。 民主党政権が行おうとしているのはこれだろう。 しかし、この難題の解き方を指南している本や新聞や雑誌は皆無だ。( マスコミはこの問題意識を共有さえできていない。)
動くべきだが動き方が分からない。 とりあえず必死に勉強するのも一つの手だろう。